70代のリハビリ~訪問看護師の視点から
訪問看護師の下澤陽子です。
日々いのちと向き合いながら、こころとからだをメンテナンスするお手伝いをしています。
今回は70代のリハビリについて考えていきます。
ただただ長生きをするのではなく、健康寿命を延ばしたいと誰もが願っていることと思います。
可能な限り「自分のことは自分で」行いたい。介護が必要な時間は、できるだけ少なく済めばいいと願っていることでしょう。
70代と言えば、まだまだ現役で働いている方も多いと思いますが、その反面、
訪問看護をご利用の方は大きな病気に見舞われており、介護が必要な方がいらっしゃいます。
このように極端に2極化している状況にあるように感じます。
そして、この70代の過ごし方がその後の健康寿命を大きく左右すると言われますので、
日頃からコツコツと健康貯金をしていくことが、大切だと感じています。
健康を自負されている70代の方
☆まず、脚力を鍛えましょう。
日頃歩き慣れている人は、そのまま継続してください。
ただし、負荷をかけすぎず、無理をせずに続けましょう。「絶対歩かなきゃ!」はストレスになり逆効果。
ちょっと今日は体調が今一つだなぁという日は敢えて休むことも大切です。
負荷のかけすぎは、心臓にも思った以上に負荷をかけているということを覚えておいてください。
目安としては次の日に疲れが出ない程度です。
歩くことだけでは物足りないという方、次のステップをお知りになりたい方、ここは個人差が大きいと思いますので、ぜひコメントでお知らせくださいね。
日頃歩いていない人は、まず急に長距離を歩かないこと。急に無理をすると膝や足を痛めたりするからです。
歩くことが習慣になるよう、まず、近所の目的地を決めて、普段は車で向かうところを散歩がてら歩いてみませんか?
仕事を退職された方も多く、行動範囲が急に狭くなってきますので、歩幅を大きくすることを意識して
是非お散歩にチャレンジしてください。
余談ですが、私の母親も70代。
以前は朝早くから起きて一時間ほどのウォーキングを日課にしていましたが、
膝を痛めてしまい、今は歩くことをやめています。
歩くことが大好きだっただけに残念ですよね。
くれぐれも無理をしないように、少しの運動の積み重ねを行っていってください。
大きな病気を抱えるなど、健康に自信のない70代の方
健康に自信のない70代の方のリハビリの基本はこちらです。
姿勢を正してみましょう。
まずは歩くための基礎作りが大切です。
日頃の姿勢を気にしていますか?鏡に映してみてください。どんな姿勢でしょうか。
背中が曲がっていませんか? 油断していると体は楽な方に傾いていきます。そして、姿勢が悪くなり、内臓も下垂していく(垂れ下がっていく)のです。
姿勢が良いとインナーマッスルが鍛えられ代謝が上がります。ダイエットにも繋り、外見が若々しく見えます。
外見が若く見える人は、実際に「内臓も若い」と言われます。
まず、そこを目指したいですね。
病気の影響で、しっかり歩くことが出来ない方は、まずは姿勢を意識してみてください。
そして、姿勢を正していってください。思った以上に力が必要かもしれませんが、少しの努力から始めてみましょう。
何もやらなければ下降線です。現在持っている筋力をキープするために、意識して実践していくことをお勧めします。
「なんだ、そんな簡単な事なんだ」と思われたでしょうか。
そう、やる内容は簡単で、ごく当たり前のことです。
しかし、継続することが大切なんです。
筋肉貯金(貯筋)をするためです。
若いころから運動を行い筋肉をよく使っていた人は、筋肉が衰えにくいといいます。それは貯筋が出来ているからだといわれています。
若いころから筋肉を使ってこなかった人は、今からでもコツコツと貯筋をしていく必要がありますね。
そういう私も、若いころは短距離を走るのが得意でしたし、バレーボール選手でもありました。
しかし、30代半ばぐらいから運動を全くしてこなかったため、筋力が衰える一方。
貯筋が乏しいのですよ…。
ですので、この記事を書きながら、自分のことを振り返り、3日前から運動を始めました。
貯筋をがんばりたいと思います。
70代のリハビリのポイント
70代のリハビリのポイントについてお伝えします。
70代のリハビリのポイント①〈人と会話をする〉
思っていることは伝えないと伝わりません。自己完結し、それは我慢することにつながっていくかもしれません。我慢ばかりしていると体も固まりますし、心も固まります。やがてストレスとなり、病気を招き入れることになりかねません。適度なおしゃべりはいいことがあるということです。
そして、言葉にすることは脳に刺激を与えるので、脳トレにもなりますよ。
日頃、声を出していますか?
声も老化していくことをご存じですか?
若々しい声を保つためには、まず「よそ行きの声を出す」ことだそうです。
例えば、電話がかかってきたときに対応する声。ワントーン上がっていませんか?
ワントーン上がっていると普段の会話と違う声帯の使い方をするそうです。
声も鍛える必要があるということですね。
声を出すということは息を吐くということなので、様々な効能がありそうです。なにより、ストレスの軽減につながります。
70代のリハビリのポイント② 〈好奇心を持つ〉
いつまでも若々しい人は、まず何事にも「やってみよう」とされます。
例えば、訪問看護にお伺いし色々アドバイスをさせていただくのですが、アドバイスをすれば、すぐに実行されます。実行されている方には、改善点をお伝えすることもできます。そして、次は継続することにチャレンジされるので、現状維持・向上につながっていきます。
そして、若い人との会話も楽しんでおられるように思います。
好奇心をもつということは、まず「やってみよう」と思えるかどうかがポイントだと思っています。それは、心を動かし、体を動かすということなんですね。
反対に、言い訳する人はやりません。
70代のリハビリのポイント③ 〈趣味を持つ〉
「何か趣味を持っておられますか?」
何も特別なものでなくても構いません。
「何をすることが好きですか?」
例えば、お料理が好きな人はおいしいモノ探しをされますし、新しいレシピにもチャレンジされます。
お花や園芸が好きな人は、お花を手入れする方法を人に伝えたり、花を見に行こうと外出されたり、行動力が伴っています。美しい花や香りは癒しにもなりますね。
野菜作りが好きな人は、土づくりを行ったり種を蒔くなど、季節に応じて行動されます。時候にも敏感です。そして、収穫物をあげる相手がいて、喜びを分かち合っておられます。
好きなことをみつけていきませんか?
まとめ
今回は70代のリハビリについて考えてみました。いかがでしたか?
健康を自負されている方の基本は、脚力を鍛えること。
・歩き慣れている方は、ウォーキングを継続していく。
・歩き慣れていない方は、まずはお散歩を始めてみる。
健康に自信のない70代の方のリハビリの基本は、姿勢を正すこと。
・まずは自分の姿勢を意識してみる。
簡単な事ですが、大事なことは継続する事です。しかし、ストレスを感じるほどやる必要はありません。
こころとからだは連動しています。
無理をしないことが大切。
無理をしないことが、長期的に見て貯筋することに繋がっていくのです。
そして、一人一人の健康寿命を延ばすことは、社会貢献です。
社会にもたらす大きな影響力があることだと思っています。
これからも 楽しく、健康について考えていきましょう。